リアル対局で一番触れる道具
材質
将棋文化検定対策第二弾です。
対局中もっとも触れることになる道具、「駒」。
今回は知っているようであまり知らない、将棋の駒についてお伝えしていきます。
最初は材質から。
黄楊(ツゲ)
駒で使われる最高級の材質は「黄楊(ツゲ)」ですね。
使えば使うほどアメ色に変化し、
今風にいえばエイジングを楽しむことができる貴重な材質です。
その黄楊も大きく分けて2種類ありまして、一つは鹿児島産の「薩摩黄楊」。
もう一つは東京都・御蔵島産の「島黄楊」です。
木材による個体差もあるので一概には言えませんが、
一般的に島黄楊のほうが高級とされています。
この2つの黄楊の違いは、薩摩黄楊のほうが若干硬いイメージで、
木材の個性も少ない感じです。
鹿児島県などでは黄楊を栽培しているところがありますが、
その土壌はほぼ均一な砂地(シラス台地)なので、
このあたりに木材の個体差が出づらい理由がある気がします。
一方島黄楊の場合産地が島ということで、土壌や環境も変化に富むので、
その違いにより木材の個性が出やすいのでしょう。
島黄楊のほうが柔らかい手触りで、木材の個性も強い感じです。
…まあこれら黄楊の違いは私の主観が強いので、あまり参考になさらずに(笑)
シャム黄楊
黄楊は高価なため、シャム黄楊と呼ばれる東南アジア原産の材木が
普及品に多く使われています。
黄楊と名乗っているものの種類が全く異なる木材のため、
名称変更の動きがあるらしいのですが、どうなるのかはわかりません(汗)
ただこの記事を書くにあたっていろいろ調べましたが、
このシャム黄楊を使った駒を、
「黄楊材」だと称して販売しているサイトもあったので、
みなさんは騙されないようにしてくださいね。
その他材質
他には…、
斧折(オノオレ)・朴の木(ホオノキ)・楓(カエデ)・樺(カバ)などがあります。
あと一番普及してるのはプラスチック製ですかね。
プラスチック製だと木に比べ衛生的なので、
子供の多い将棋教室等でよく見かけます。
彫り方
ここはWikipedia先生にお願いいたします(苦笑)
イラストも入ってわかりやすいですし。
彫り方の種類
*Wikipediaより引用 一部改変
彫り方は以上の4つです。
下の掘り方になるほど手間がかかっていくので、どんどん高価になっていきます。
将棋指しとしては、いつかは盛り上げ駒が欲しいですが、
購入しても、多分ほとんど使わないまま飾っておくのだろうな(笑)
書体
将棋の駒に書かれる文字には色々な書体があります。
その数は数えきれませんが(森内名人書の駒もあります!)、
以下の四大書体を覚えておくといいでしょう。
錦旗(きんき)
*丸八碁盤店より引用
錦旗はベーシックな書体の1つで、
駒師たちの間では「錦旗で始まり錦旗で終わる」と言われるほどです。
錦旗書は、後水尾天皇の銘を豊島龍山が書き写したことが始まりとされており、
同じ書体でも駒師によって雰囲気が変わります。
私も錦旗書の駒を持っていますが、味わいのある書体で飽きがこないですね。
ちなみに他の書体と錦旗の最も見分けやすいのが角行の駒です。
「角」の字が小さめに、行の字が横長に表現されているのが特徴です。
水無瀬(みなせ)
*丸八碁盤店より引用
水無瀬は安土桃山時代に能筆家で知られた公家の
水無瀬兼成が書いたことが始まりとされています。
その当時は盛り上げ駒の製法がなく、漆による書き駒でした。
ゆったりとしつつも、どこかどっしりと構えたような字体が、
徳川家康をはじめとした当時の権力者に好まれたとのことです。
「水無瀬」の駒をよく見ると
王将の「王」の字の縦線の太さや
「と金」の「と」の字がくるんと丸くなっていることが特徴的ですね。
巻菱湖(まきりょうこ)
*丸八碁盤店より引用
菱湖とは、「幕末の三筆」と謳われた巻菱湖が完成させたといわれる書体で、
タイトル戦などで最も使用されている書体の1つです。
多くの駒師が使用している書体で、菱湖と巻菱湖の2種類あります。
他の駒との見分け方としては、王将と玉将の違いが玉の有無だけでなく、
全く別の書体に見えることが挙げられます。
また「ヒゲつき菱湖」とも呼ばれるように、
「龍王」や「玉将」、「歩兵」に独特なハネが見られることも特徴です。
源兵衛清安(げんべえきよやす)
*丸八碁盤店より引用
源兵衛清安は、プロやアマチュア問わず多くの駒師が使用している書体です。
少し下の方に文字が広がっていて、駒の形にしっかりと納まる書体となっています。
江戸時代から伝わる古い書体とされていますが、
起源については全く判明しておらず、ミステリアスな一面も持ち合わせています。
他の書体との見分け方は、五角形の駒の形にバランスよくおさまるように、
末広がりに文字が描かれているところです。
書体にあらず
*京都大石天狗堂より引用
普及品の駒の中には上記のような書体を用いず、
もっと簡略化された書体(?)で彫られることもありまして、
上等なものから順に、上彫・中彫・並彫・黒彫となります。
玉の下辺に何も書かれていない駒は、これのどれかに当てはまると思いますね。
将棋の駒エトセトラ
最後に、将棋の駒にまつわる薀蓄(うんちく)を
いくつかお伝えして終わりたいと思います。
最古の将棋駒
国内最古の将棋の駒「酔象(すいぞう)」が奈良県興福寺で見つかっています。
その時のニュース↓
一応「酔象」の動き方も載せておきましょう。
「酔象」は成ると「太子」になり、王様の代わりになります。
例え王を詰ませても、太子がいる限り対局は続行です(小将棋・中将棋等)。
元の駒 動き 成駒 動き 醉象(すいぞう)
○ ○ ○ ○ 醉
象○ ○ ○ 真後ろ以外の方向に1マス動ける。 太子(たいし)
○ ○ ○ ○ 太
子○ ○ ○ ○ 全方向に1マス動ける。 *Wikipediaより引用 一部改変
将棋駒のお手入れ
(黄楊でできた高級駒の場合)
普段のお手入れには椿油を数滴たらした柔らかい布で磨きます。
もし駒が汚れたら、水などは使わず牛乳(!)で拭き取ります。
それでも落ちない場合は「化学ぞうきん(サッサなど)」(!!)を使います。
将棋の駒はなぜ五角形?
日本将棋の駒は敵味方とも同色の文字で書かれているので、
先端を尖らせた五角形にすることによって駒に方向性を与え、
敵味方の区別が付くようにしました。
また日本将棋独特のルール、
「持ち駒を味方として使うことができる」を実現するためと言われています。
持ち駒を味方にできるルールは、
世界の将棋(チェス・シャンチーなど)の中でも、日本独自のルールです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
。・゜・(ノ∀`)・゜・。盤駒安物しか持ってないのです><
ここで紹介された駒で「回り」や「山崩し」とかやったら怒られちゃいそうですねw
そいえば子供のころ「ぶっ飛ばし将棋」なんてのもやってました。2人プレイで駒半分ずつ持って盤のかどっこに玉を立てて飛車をミサイル?に玉飛以外の駒は玉の前面を囲うように壁作って交代で相手の囲いを自分の飛車をデコピンで弾いて攻撃し盤から落ちた駒は自分の囲いに足します。玉がやられたら飛を立てて角をミサイル?に角が取られていたら金がミサイル?に…うーん説明ヘタで申し訳ないっす
なんか記憶の片隅にありますね、そのようなゲーム…。
おはじきみたいなやつですよね?
なんていう名前のゲームだったんだろ?w
駒は高級になればなるほど面取りもされ、表面に蝋を塗ったりするので、さぞかしよく滑る駒になりそうですw