将棋文化検定対策② 駒

将棋文化検定対策

リアル対局で一番触れる道具

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材質

将棋文化検定対策第二弾です。

対局中もっとも触れることになる道具、「」。

今回は知っているようであまり知らない、将棋の駒についてお伝えしていきます。

 

最初は材質から。

黄楊(ツゲ)

駒で使われる最高級の材質は「黄楊(ツゲ)」ですね。

使えば使うほどアメ色に変化し、

今風にいえばエイジングを楽しむことができる貴重な材質です。

その黄楊も大きく分けて2種類ありまして、一つは鹿児島産の「薩摩黄楊」。

もう一つは東京都・御蔵島産の「島黄楊」です。

黄楊は御蔵島の特産品の一つなので、検定の問題に出るかもしれませんね。要チェックです。…問題を出すとしたら、「将棋の駒には島黄楊(ツゲ)と呼ばれる良質な木材が使われることがあるが、この『島』とはどこのことか?」といった感じでしょうか。

木材による個体差もあるので一概には言えませんが、

一般的に島黄楊のほうが高級とされています。

この2つの黄楊の違いは、薩摩黄楊のほうが若干硬いイメージで、

木材の個性も少ない感じです。

鹿児島県などでは黄楊を栽培しているところがありますが、

その土壌はほぼ均一な砂地(シラス台地)なので、

このあたりに木材の個体差が出づらい理由がある気がします。

一方島黄楊の場合産地が島ということで、土壌や環境も変化に富むので、

その違いにより木材の個性が出やすいのでしょう。

島黄楊のほうが柔らかい手触りで、木材の個性も強い感じです。

…まあこれら黄楊の違いは私の主観が強いので、あまり参考になさらずに(笑)

シャム黄楊

黄楊は高価なため、シャム黄楊と呼ばれる東南アジア原産の材木が

普及品に多く使われています。

黄楊と名乗っているものの種類が全く異なる木材のため、

名称変更の動きがあるらしいのですが、どうなるのかはわかりません(汗)

ただこの記事を書くにあたっていろいろ調べましたが、

このシャム黄楊を使った駒を、

「黄楊材」だと称して販売しているサイトもあったので、

みなさんは騙されないようにしてくださいね。

その他材質

他には…、

斧折(オノオレ)・朴の木(ホオノキ)・楓(カエデ)・樺(カバ)などがあります。

あと一番普及してるのはプラスチック製ですかね。

プラスチック製だと木に比べ衛生的なので、

子供の多い将棋教室等でよく見かけます。

 

彫り方

ここはWikipedia先生にお願いいたします(苦笑)

イラストも入ってわかりやすいですし。

彫り方の種類

 

書き駒
Shogi koma kakikoma.png
木地の表面に直接漆で駒字を描いたもので、最も古い形態の駒である。現在ではほとんど生産されていない。粘りがある漆の物性により、木地の表面に漆が盛り上がるため、見た目は盛り上げ駒に近似する。著名な駒師が価格を抑えられる「普及版の盛り上げ駒」として制作している例がある。
彫り駒
Shogi koma horigoma.png
木地に印刀で駒字を彫り、切削面に漆を塗って仕上げたもの。コンピュータ制御の機械で彫った比較的安価なものから、著名な駒師が丹念に仕上げた高級品まで、価格帯が広い。
彫り埋め駒
Shogi koma horiume.png
彫り駒の状態から、砥の粉と漆を調合したもので切削面を埋め、表面を磨き上げて完全な平面に仕上げたもの。一見すると、木地に駒字が毛筆で書いてあるように見える。高級品で、著名な駒師の作品であるのが通常。
盛り上げ駒
Shogi koma moriage.png
彫り埋め駒の状態から、漆を木地より高く「盛り上げ」たもの。最高級品で、著名な駒師の作品であるのが通常。プロ(棋士・女流棋士)の公式戦は、テレビ棋戦等の特別の事情がある場合を除き、盛り上げ駒を使用するのが原則。

*Wikipediaより引用 一部改変

彫り方は以上の4つです。

下の掘り方になるほど手間がかかっていくので、どんどん高価になっていきます。

将棋指しとしては、いつかは盛り上げ駒が欲しいですが、

購入しても、多分ほとんど使わないまま飾っておくのだろうな(笑)

プロの公式戦は、盛り上げ駒を使用することが原則ってのがポイントのような気がします。あと、4種類の彫り方も覚えておくと良いでしょうね。

 

書体

将棋の駒に書かれる文字には色々な書体があります。

その数は数えきれませんが(森内名人書の駒もあります!)、

以下の四大書体を覚えておくといいでしょう。

錦旗(きんき)

丸八碁盤店より引用

錦旗はベーシックな書体の1つで、

駒師たちの間では「錦旗で始まり錦旗で終わる」と言われるほどです。

錦旗書は、後水尾天皇の銘を豊島龍山が書き写したことが始まりとされており、

同じ書体でも駒師によって雰囲気が変わります。

私も錦旗書の駒を持っていますが、味わいのある書体で飽きがこないですね。

ちなみに他の書体と錦旗の最も見分けやすいのが角行の駒です。

「角」の字が小さめに、行の字が横長に表現されているのが特徴です。

 

水無瀬(みなせ)

丸八碁盤店より引用

水無瀬は安土桃山時代に能筆家で知られた公家の

水無瀬兼成が書いたことが始まりとされています。

その当時は盛り上げ駒の製法がなく、漆による書き駒でした。

ゆったりとしつつも、どこかどっしりと構えたような字体が、

徳川家康をはじめとした当時の権力者に好まれたとのことです。

「水無瀬」の駒をよく見ると

王将の「王」の字の縦線の太さや

「と金」の「と」の字がくるんと丸くなっていることが特徴的ですね。

 

巻菱湖(まきりょうこ)

丸八碁盤店より引用

菱湖とは、「幕末の三筆」と謳われた巻菱湖が完成させたといわれる書体で、

タイトル戦などで最も使用されている書体の1つです。

多くの駒師が使用している書体で、菱湖と巻菱湖の2種類あります。

他の駒との見分け方としては、王将と玉将の違いが玉の有無だけでなく、

全く別の書体に見えることが挙げられます。

また「ヒゲつき菱湖」とも呼ばれるように、

「龍王」や「玉将」、「歩兵」に独特なハネが見られることも特徴です。

 

源兵衛清安(げんべえきよやす)

丸八碁盤店より引用

源兵衛清安は、プロやアマチュア問わず多くの駒師が使用している書体です。

少し下の方に文字が広がっていて、駒の形にしっかりと納まる書体となっています。

江戸時代から伝わる古い書体とされていますが、

起源については全く判明しておらず、ミステリアスな一面も持ち合わせています。

他の書体との見分け方は、五角形の駒の形にバランスよくおさまるように、

末広がりに文字が描かれているところです。

この四つの書体を覚えておけば多分大丈夫でしょう。書体には無限のバリエーションがあるので、問題を出す側としても他の書体の問題は難度が高い気がします。ちなみに覚え方としては、「巻菱湖、錦旗、水無瀬に源兵衛清安」と五・七・五調で覚えると覚えやすいかと思います。

書体にあらず

京都大石天狗堂より引用

普及品の駒の中には上記のような書体を用いず、

もっと簡略化された書体(?)で彫られることもありまして、

上等なものから順に、上彫・中彫・並彫・黒彫となります。

玉の下辺に何も書かれていない駒は、これのどれかに当てはまると思いますね。

 

将棋の駒エトセトラ

最後に、将棋の駒にまつわる薀蓄(うんちく)を

いくつかお伝えして終わりたいと思います。

 

最古の将棋駒

国内最古の将棋の駒「酔象(すいぞう)」が奈良県興福寺で見つかっています。

その時のニュース↓

国内最古の将棋の駒「酔象」 奈良・興福寺 - 日本経済新聞
奈良市の興福寺旧境内で11世紀末(平安時代)の将棋の駒「酔象(すいぞう)」など4点が見つかり、奈良県立橿原考古学研究所が...

 

一応「酔象」の動き方も載せておきましょう。

「酔象」は成ると「太子」になり、王様の代わりになります。

例え王を詰ませても、太子がいる限り対局は続行です(小将棋・中将棋等)。

 

元の駒 動き 成駒 動き
醉象(すいぞう)

真後ろ以外の方向に1マス動ける。 太子(たいし)

全方向に1マス動ける。

*Wikipediaより引用 一部改変

 

将棋駒のお手入れ

(黄楊でできた高級駒の場合)

普段のお手入れには椿油を数滴たらした柔らかい布で磨きます。

もし駒が汚れたら、水などは使わず牛乳(!)で拭き取ります。

それでも落ちない場合は「化学ぞうきん(サッサなど)」(!!)を使います。

 

将棋の駒はなぜ五角形?

日本将棋の駒は敵味方とも同色の文字で書かれているので、

先端を尖らせた五角形にすることによって駒に方向性を与え、

敵味方の区別が付くようにしました。

また日本将棋独特のルール

「持ち駒を味方として使うことができる」を実現するためと言われています。

持ち駒を味方にできるルールは、

世界の将棋(チェス・シャンチーなど)の中でも、日本独自のルールです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. ぶりあん より:

    。・゜・(ノ∀`)・゜・。盤駒安物しか持ってないのです><
    ここで紹介された駒で「回り」や「山崩し」とかやったら怒られちゃいそうですねw
    そいえば子供のころ「ぶっ飛ばし将棋」なんてのもやってました。2人プレイで駒半分ずつ持って盤のかどっこに玉を立てて飛車をミサイル?に玉飛以外の駒は玉の前面を囲うように壁作って交代で相手の囲いを自分の飛車をデコピンで弾いて攻撃し盤から落ちた駒は自分の囲いに足します。玉がやられたら飛を立てて角をミサイル?に角が取られていたら金がミサイル?に…うーん説明ヘタで申し訳ないっす

    • うに うに より:

      なんか記憶の片隅にありますね、そのようなゲーム…。
      おはじきみたいなやつですよね?
      なんていう名前のゲームだったんだろ?w
      駒は高級になればなるほど面取りもされ、表面に蝋を塗ったりするので、さぞかしよく滑る駒になりそうですw