ロックンロールな棋士

＊2019年1月19日更新

行方尚史八段

＊日本将棋連盟より引用

棋士番号	208
生年月日	1973年12月30日(45歳)
出身地	青森県弘前市
師匠	（故）大山康晴十五世名人
竜王戦	3組
順位戦	B級1組

＊2019年1月19日現在

今回は行方尚史八段をご紹介いたします。

「なめかたひさし」八段です。

通称「なめちゃん」。

一体どんな人物なのでしょうか？

 

大山康晴十五世名人最後の弟子

＊ベルギー将棋連盟より引用

行方八段は青森県弘前市生まれです。

幼少期より将棋を始め、小学6年生時の1985年春の時、

第10回小学生将棋名人戦で3位入賞を果たしています。

青森在住だったのですが、将棋に専念するために中学に上がると同時に上京しました。

大山康晴十五世名人の弟子としての上京です。

 

中学生時代には学校の教師や下宿先で、

奨励会員という立場を理解してもらえなかったため、

バカにされたり罵倒されるなど苦労が絶えなかったようですね。

そのせいか、

当時は「中学中退がかっこいい」などと強がっていた面もあるそうです。

そんなこんなで中学卒業後は都立高校に進学するものの、3ヶ月で中退しています。

聞くところによると、将棋が忙しくて辞めたわけではないらしく、

なかなか波乱に満ちた少年期を過ごされたようですね。

 

快進撃

＊日本将棋連盟より引用

プロ入りは1993年19歳の時です。

デビュー時に「羽生さんに勝って、いい女を抱きたい。」

と激しい発言をしたらしいのですが、

本人としては、マスコミに煽られて言わされたとのことで、

取り消したい黒歴史とのことです（苦笑）

 

その恥ずかしい過去（？）は置いときまして、

行方八段はプロデビュー後、初参加の竜王戦6組で、なんと初優勝。

そのままトーナメントで勝ち進みましたが、

残念ながら挑戦者決定戦で羽生さんに負けています。

 

翌年も快進撃を続け、竜王戦5組でも優勝。

昇段規定「竜王ランキング戦2回連続優勝」により五段に昇段したのですが、

これは同規定の初の適用でして、その後もこの規定で昇段したのは、

行方八段の他に木村九段しかいません。

それほどの難関規定なんですね。

 

その後竜王戦で1組入り。

2006年に順位戦A級に昇級、八段に昇段。

そして2008年度には、新設である朝日杯将棋オープン戦で優勝し、

初の全棋士参加戦での優勝を遂げます。

 

行方八段は、名人位にも一回挑戦しております。

2015年3月16日に行われた挑戦者決定プレーオフ戦の激しい対局を制し、

当時の羽生名人への挑戦権を得ましたが、

名人戦の番勝負では1勝4敗で破れております。

 

多面的な人間性

＊竜王戦中継plusより引用

行方八段のロック好きは有名で、

ミッシェル・ガン・エレファントやナンバーガールなど、

激しいロックがお好みのようです。

このロック好きは筋金入りのようで、

自身の観戦記の冒頭では次のように述べております。

　今の僕は恐ろしいほど単純だ。
将棋とロックがあればなにもいらないや、とさえ思う。

1月17日横浜アリーナに
ミッシェル・ガン・エレファントのライブを観に行ってきた。

狂騒の中、ふといつかこれは終わってしまうんだなと思い、悲しくなった。

でも、僕はいいんだ。
盤上で同じような意識トバす感覚を生み出せる可能性を持っている訳だから。
そう考えると気持ちが軽くなった。

＊将棋ペンクラブログより引用

…「将棋とロックがあればなにもいらない」と言い切るあたり、

格好いいですよね。

ちなみに行方八段は、このブログでちょくちょく出てくる将棋（熱血バトル）漫画

『ハチワンダイバー』のキャラクターである「右角ヒサシ」のモデルともなっています。

 

またお酒好きでも有名で、弱いながらも飲み回り、

色々失敗談を撒き散らしているらしいですが、

同郷の先崎学九段とのエピソードもまた強烈です。

将棋世界１９９８年１月号、河口俊彦七段「新・対局日誌」より。

（太字が河口七段の文章）

夏の終わりの頃のこと。タイトル戦が終わり、みんなが酒を飲んだりして遊んでいる席で、ちょっとした事が起こった。

酔った行方五段が「ひどいヘボをやった。先崎レベルの将棋になってしまった」とボヤいた。大きな将棋に負けたのを悔やんでいたのだろう。聞いた話なのでこの通りだったかどうかは知らない。とにかく先崎六段がカチンとくることを言った。

それを聞きつけた先崎君は「もう一度言ってみろ！言ったら灰皿を投げるぞ」とやり返した。すると行方君は、「先崎レベルの将棋になってしまった」。しらっとくり返した。灰皿が飛んだことは言うまでもない。

＊将棋ペンクラブログより引用

…以前NHKの将棋講座のコーナーで、行方八段ご本人が登場された時には、

ご結婚されてからは生活リズムが正されたみたいで、

お酒も程々になったと本人は言ってらっしゃいましたね。

加えて、以前から指摘されている遅刻癖も鳴りを潜めているようで、

一緒に出演されていた野月浩貴八段に、そのことを突っ込まれていましたよ（笑）

 

…以上に挙げたエピソードの他にも、

1. 生来右利きなのに、サウスポーに憧れて将棋は左手で指すようになった。
2. 食べるのが遅く、食事に時間がかかる傾向がある。
3. ポール・スミスを着るなど、棋士の中ではファッションセンスがあるとされる。

などといった、個性的な特徴をお持ちなようです。

 

藤井聡太七段がAbemaTVの企画で「非常にかっこいい先生」という理由で

対局相手に指名したほどの棋士、行方八段。

その生き様は破天荒ではありますが、

どこか憎めない人間性でファンを魅了し続けます。

これからのご活躍を期待しています。

 

当ブログは行方尚史八段を応援し続けます！

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。