将棋プロ棋士紹介② 藤井猛九段

将棋プロ棋士紹介

至宝!藤井システムの生みの親

*2019年2月6日更新

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藤井猛九段

日本将棋連盟より引用

棋士番号 198
生年月日 1970年9月29日(48歳)
出身地 群馬県沼田市
師匠 西村一義九段
竜王戦 2組
順位戦 B級2組

*2019年2月6日現在

 

将棋会には「天才」と呼ばれる藤井が二人います

ひとりはもちろん華々しく中学生プロデビューし、

その後数々の新記録・最年少記録などを打ち立てた藤井聡太七段

もうひとりは「藤井システム」を編み出し、

棋界に革命を起こした藤井猛九段です。

 

この藤井システムという革新的な戦法を引っさげて、

当時化物クラスであった谷川・羽生をなぎ倒し、

名人に並ぶタイトル、

「竜王」を三連覇するという偉業を成し遂げた藤井九段。

今回はその藤井猛九段をご紹介させていただきます。

 

藤井てんてー

王座戦中継Blogより引用

 

…いやー。

ぶっちゃけちょっと前から将棋ファンであったのなら、

将棋会の藤井と言えば、藤井猛九段でしたよねー。

 

自虐的な解説で、周囲を困惑と失笑の海に引きずり込み、

ニヤニヤぼそぼそ喋ってるんだけども、

どこか憎めないし、

意外と聞こえやすい語りで大盤解説をしてくれる藤井九段。

 

時には終盤で、

「これは詰みです。………たぶん。」と、

全くプロ棋士らしからぬ発言でファンをズッコケさせるところはどこか可愛く、

将棋ファンには「てんてー」と呼ばれ、

(『先生』をもじってます。『天帝』ではないです。)

みんなにとても愛されているのも頷けます。

 

…この間なんか、「『じゃない方』の藤井です。」って自己紹介していましたが、

そんなに卑下しないでくださいよ「てんてー」!

少し前からの将棋ファンはみんな知ってますよって、

声を大にして言いたい私も当然藤井九段ファン

…「てんてー」大好きです(笑)

 

藤井システム

王位戦中継ブログより引用

 

そんな藤井九段を語る上で外せないのは「藤井システム」の存在です。

さて、藤井システムとは一体どんな戦法なのでしょうか?

 

簡単に言えば四間飛車と呼ばれる戦法の一種で、

当時四間飛車(振り飛車)相手に猛威を振るっていた

「居飛車穴熊」対策に生み出された戦法です。

(厳密には対左美濃に用いられる藤井システムもあります。)

革命的とされたのは、

「玉を囲う」というのが当たり前だった当時の将棋会において、

「居玉」のまま戦うことを念頭に作られた戦法だというところです。

玉を囲う手数を使って、

相手が穴熊に組む前の不安定なタイミングで攻めつぶすという、

まさに天才的な発想で生み出された戦法なのです。

 

…ここで藤井システム初出の棋譜を貼っておきます。

藤井システム爆誕!↓
藤井猛 vs. 井上慶太 順位戦
藤井システムの歴史を振り返るときに、
必ず紹介されるのが上の棋譜。

「将棋・序盤完全ガイド振り飛車編」で著者の上野裕和五段は、
「井上には毎回気の毒ですが…」と言いつつも、
この棋譜をバッチリ紹介して、
「これも将棋ファンの皆さまのためです。」と
割りきって述べている所が私は好きです(笑)
ちなみに上記の「序盤完全ガイドシリーズ」は、
観る将の方々にもわかりやすく書かれているので、とてもオススメです。

 

四間飛車にこだわる

王位戦中継ブログより引用

 

将棋会に衝撃を与えた藤井システムなのですが、

この戦法が生まれた土壌には、

藤井九段の劣等感があったというのが面白いです。

 

藤井九段は「上を目指すのには時間がなかった。」と仰っております。

いわゆる羽生世代と呼ばれる棋士たちの中の一人ではありますが、

藤井九段は、羽生・佐藤・森内・郷田などの早熟なプロ棋士たちとは異なり、

遅れて棋界に入ったことがコンプレックスだったとのことでした。

これらスター棋士と対等に渡り合い打ち負かすには、

すべての戦型を熟知し、

柔軟な対応力を養う必要がありましたが、

それには時間が無かったという意味での、先ほどの言葉です。

 

…やはり幼少年期の蓄え(知識・経験)が生きる将棋会において、

それが無い(と思っている)藤井九段にとっては、

戦うための武器は他に必要だったのですね。

 

そこで自分が大好きな戦法である

四間飛車だけを鍛え上げるという発想に至ります。

要は四間飛車のスペシャリストを目指したのです。

そうすれば、他の戦法の研究に割かれる時間を最小限に抑えることができる!

そう考えて、一人でコツコツ四間飛車の研究を続ける日々が始まります。

 

居飛車穴熊にコテンパンにされながらも四間飛車を磨き続け

「不利飛車」とバカにされながらも四間飛車を磨き続け

他の振り飛車党がどんどん居飛車党に転向していっても四間飛車を磨き続け

そうしてできた宝石のような戦法がこの藤井システムなのです。

 

普通新手というのは、研究会などで小出しに検討され、

局所的な局面で初めて新手として世に出ることが多かったのですが、

藤井システムはいきなりドカンと、

しかもほとんど藤井九段一人による研究成果として世に出たものですから、

将棋会は度肝を抜かれてしまったんです。

 

あの羽生さんですら、

「藤井猛という棋士がいなかったら、あの戦法は生まれなかった。」

と言わしめるほどの独創性。

それは、好きなことをコツコツやり続けた結果

生まれた歴史的快挙なのです。

 

当ブログは藤井猛九段を応援し続けます!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. ぶりあん より:

    てんてーは確か本業はかっぱ寿司の店員で将棋は嗜む程度とかw(削除済みのアンサイクロペディア記事よりw)

    羽生先生に勝った時もですがその棋譜の美しさは随一だと思います(・x・ ).o0○
    システムはあっしも少々かじったのですが当然とはいえやはりてんてーほど美しく指せません(ノー`)
    あの華麗な指し回しに少しでも近づければいいなぁ(・x・ ).o0○

    • うに うに より:

      あれ?
      てんてーはうなぎ職人だった気がw

      …そうなんですよね。棋譜並べすると「なんかスゲー」ってなるんですよね、藤井九段の棋譜は。
      私のポンコツ棋力からすると、その良さの十分の一も分かってないんでしょうけど(^_^;)
      てんてーの話題は将棋会の金脈なので、まだまだ語っていきたいと思います。
      お付き合いいただけるとありがたいです(^^)