「豊島?強いよね」で有名な棋士
*2019年5月18日更新
豊島将之三冠
*日本将棋連盟より引用
左(上)は2018年9月13日に行われたヒューリック杯棋聖就位式での一枚
右(下)は2018年11月14日に行われた王位就位式での一枚
棋士番号 | 264 |
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生年月日 | 1990年4月30日(29歳) |
出身地 | 愛知県一宮市 |
師匠 | 桐山清澄九段 |
竜王戦 | 1組 |
順位戦 | 第77期名人 |
*2019年5月18日現在
今回は豊島将之三冠を取り上げます。
先日羽生ニ冠(当時)より棋聖を奪取し、
なおかつ菅井王位からも王位のタイトルを獲得し、
さらに佐藤天彦名人に勝利して名人の座にも上り詰め、
自身初の三冠となった豊島さん。
一体どんな方なのでしょうか。
ロケットスタートのプロ初年度
*将棋情報局より引用
「関西若手四天王」と呼ばれる棋士の一人で、
奨励会時代から将来を有望視されてきた若手棋士です。
4歳から将棋を初め、その後関西将棋会館道場で腕を磨き、
なんと9歳でアマ六段までに達しております。
小学校3年生で奨励会に入会し、この頃は成績に波があったものの、
スピード昇級・昇段を重ねた上で2007年3月にプロ入り。
史上初の平成生まれのプロ棋士としてデビューしました。
プロ1年目の2007年度は、8月3日から10月9日まで9連勝。
1敗を喫した後、さらに10月30日から1月11日まで10連勝と、
終わってみれば19勝1敗という脅威の成績で、
年度勝率も全棋士中3位の0.714という活躍を見せつけています。
「平成生まれの天才児」の初年度は、華々しい結果でした。
前回の記事(将棋 なんじゃこりゃ用語⑥ 投了その1)で
ご紹介しておりますように、
真部八段の絶局のお相手が豊島四段です。
本来指そうとしてた手が豊島四段の長考を誘うものであったため、
その時すでに体力の限界を感じていた真部八段が、
指さずに投了したというエピソードなんですが、
その直後のインタビューで豊島四段は、
「その手を指されたら間違いなく長考していた。」とおっしゃっております。
*段位は当時。
初のタイトル挑戦
*日本将棋連盟ネット支部より引用
2010年度は第60期王将戦で二次予選を勝ち抜き、
2年連続で王将リーグ入りを果たします。
羽生、森内等の並み居る強豪を打ち破り、
最終局で佐藤康光九段との1敗同士の直接対決を制しまして、
5勝1敗で王将への挑戦権獲得(これで六段に昇段)。
自身初のタイトル挑戦となりました。
久保利明王将との七番勝負では2-4で敗退し、タイトル奪取はなりませんでしたが、
そのタイトル初挑戦の年では、新人賞を受賞しております。
…色々プロ棋士のことを調べていくと、若い頃から天才と呼ばれている棋士は、
かなり早い時期にタイトル挑戦することが多いですね。
そしてその勢いのままタイトルを取るか、そこで阻まれるかによって、
その後の棋士人生に大きな違いが現れているようです。
しかも今の20代30代の若手棋士が相手をしてきたタイトルホルダーは、
ほとんどが羽生世代と呼ばれる大きな壁。
豊島三冠も、その大きな壁に苦しまされた一人となります。
苦しい日々
*日本将棋連盟より引用
その後豊島三冠は、順に王座・棋聖・王将への挑戦権を得るものの、
タイトルを取れない時期が続きました。
そのタイトルを取れなかった日々を、豊島三冠自身はインタビューで、
「将棋を楽しいと思えない日々が続いた。」と答えているほど、
相当辛い時期だったようです。
しかし、その苦しかった期間にも淡々と勝ち星を重ねていた所に、
豊島三冠のプロ棋士としての矜恃を見ることが出来ますよね。
83手で勝利した人類側唯一の勝ち星を含めたいと思います。
その困難な道のりの果てに獲った、今回の棋聖と王位というタイトルの重みは、
単なるアマチュア将棋指しの私には、到底計り知ることができないです。
まして名人という棋界最高峰のタイトルも取られるとは…。
このブログでは何度も言っていますが、
本当に初戴冠と三冠、おめでとうございます!
棋風
*日本将棋連盟より引用
豊島三冠の棋風ですが、実はとらえどころがありません。
もちろん「良い意味で」です(笑)
居飛車(対振り飛車、矢倉、角換わり、後手番一手損角換わり、横歩取りなど)や
振り飛車(三間飛車、向かい飛車、中飛車など)、
相振り飛車(!)のいずれも指しこなし、
また、攻め合いの将棋も持久戦も指しこなすという、
典型的なオールラウンドプレーヤーなものですから、
対局する側としては本当に脅威でしょうね。
「豊島?強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。」と、
同じ棋士の佐藤紳哉七段からも評価されていることも有名で、
電王戦での二つ名は「若き天才オールラウンダー」と紹介されています。
こう聞いていると、定跡重視のスマートな研究家タイプに錯覚しがちですが、
実は力戦形も得意としていて、
最速の勝ちを目指すよりは抜群の大局観で押し切るその将棋は、
まさに「駒達が躍動する将棋」そのものです。
ちょうど現在挑戦中(2018年7月当時)の王位戦で、
豊島三冠が快勝した棋譜を載せておきますね。
穴熊が全くの手付かずでの圧勝劇は、タイトル戦では珍しいと思います。
きゅん
西遊棋Webより引用
豊島三冠はその童顔で可愛らしい見た目で、多くの女性ファンを虜にしておりますね。
あだ名のひとつに「きゅん」というのがありますが、
その名付けの由来が単に
「豊島くん」→「豊島きゅん」→「きゅん」というのだから笑ってしまいます。
最初に「豊島くん」と呼ばれるあたりが豊島三冠らしいですね。
(普通は先生とか段位で呼ばれます)
また、その見た目ゆえにこんなエピソードもあります。
2013年(23歳)当時の話ですが、
連盟で知らないおじいさまにチラチラ見られたので、
「応援してます」とか言ってもらえるのかな~と思っていると、
「君、研修会員?」って聞かれてしまいました(>_<)
奨励会飛び越して研修会とは…
(豊島)— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2013年5月13日
…と、なんと小中学生と間違わられる事態が!(笑)
それだけ若い見た目を有しながら、
それでいて将棋が鬼のように強いってのがポイントですよね。
これは女性ならずとも、「ギャップ萌え」で「きゅん」ってしちゃいますよ。
ネットやテレビ等で特集されることもこれからどんどん増え、
人気急上昇になることが予想される豊島三冠ですが、
流行に流されることなく
当ブログは豊島将之三冠を応援し続けます!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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