宇都宮餃子が有名になったきっかけを話そう

栃木県

宇都宮餃子のお話

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餃子売り出し前夜

34年前にも宇都宮に住んでいた

私は現在は東京住みですが、この直前には栃木県宇都宮市に住んでいました。

さらに言えば、30年以上前も父親の転勤の関係で宇都宮に住んでいたこともあります。

『’84とちぎ博』という、当時流行りだった地方博覧会の一つが、宇都宮で開催されてた時期に住んでましたね。

1984年のことだから、今から34年前かぁ。

私もだいぶオッサンになったんだなぁ…(しみじみ)

『’84とちぎ博』では運行バスとして、ロンドンから直輸入された赤い2階建てバス
(ルートマスター。通称ロンドンバス)が走ってましたが、法律関係でエアコンがつけられないとかで、クッソ暑い日に汗だくになって乗った記憶があります(苦笑)

…つまり時期をまたいで、私は宇都宮に2回住んでいるのですね。

これが今回の記事のポイントです。

 

確かに餃子は食べていた

餃子 宇都宮みんみんから引用

今でこそ宇都宮と言えば、

間髪入れず「餃子」ってな感じで語られることが多いのですが、その1984年当時は宇都宮に住んでいても、そんなに餃子について語られることはなかったですね。

ただ後から思えば、うちの母親がよく餃子を買ってきていたな〜という思い出だけはあって、↑上に貼ってある写真の店みんみんの赤と紺(?)の丸い模様の包装紙と、↓下に貼ってある写真の店正嗣(まさし)」のチャイナ服の女の子の包装紙は、未だに覚えてました。

この両店の本店がある宮島という所は、当時住んでいたところから近い所にあり、自転車で買い物をしていた母にとっては都合が良かったのもあったと思います。

どちらも良く買ってきては食べていたのでしょうね。

…なんというか日常のワンシーンであって、餃子のことを特段気にも留めていない日々だったと思います。

 

「食べ物で町おこし」のルーツ?

『おまかせ!山田商会』

餃子専門店 正嗣より引用

その後も父親の転勤で色々引っ越しを繰り返し、一時東京の住まいに落ち着いたのですが、その東京で観た山田邦子さん司会のテレビ番組、『おまかせ!山田商会』という番組で、宇都宮が町おこしの企画で紹介されてました。

…多分、「転勤族あるあるネタ」の一つなんですが、自分が住んでいた地域の話題って、なぜか知らぬ間にアンテナが張ってあって、無意識に反応してしまうんですよね。

特に毎回観ていた番組ではなかったのですが、その時ばかりは特集されているのが「宇都宮」ということだったので、家族で観ることにしました。

1990年代前半の事だったように記憶しています。

 

TMネットワーク?

番組冒頭は、宇都宮の高校生の投書から始まった気がします。

「僕の住んでいる宇都宮の学校の文化祭を盛り上げたいので、ご協力お願いします。」というような内容でした。

…宇都宮??

番組内のタレント達が「宇都宮ってどこにあるんだっけ?」といったような反応を見せました。

当時の北関東の認知度は今よりとてもヒドイものでしたので、この反応は当然と言えば当然でした(汗)

それで番組で宇都宮をアンケート調査したところ、宇都宮をイメージするものの第一位は、なんと「宇都宮隆」氏という結果に(笑)

宇都宮隆さんは、当時大人気であった「TMネットワーク」のボーカルの方です。

テロップに出てきた「宇都宮隆さんは熊本出身。宇都宮市とは全く関係ありません。」という文言を、強烈に覚えていますね。

 

すでに宇都宮では餃子推しの機運が

そのアンケート結果を受けて、宇都宮の認知度があまりにも低いということが分かりました。

そこで、「宇都宮の町が盛り上がらないと、その文化祭も盛り上がらないじゃない?」と、とりあえず宇都宮に行ってみようという流れになり、番組の出演者が宇都宮に行ってみたところから宇都宮の餃子の興隆が始まったと記憶しています。

 

…私が後に調べたところ、もうその時すでに「宇都宮は餃子の町で盛り上げていこう!」という動きがあったようなんです。

総理府の家計調査年報で、一世帯あたりの年間餃子消費額が日本一だということを受けた宇都宮市の職員が、町おこしの提案として「餃子を通しての町おこし」を掲げていて、宇都宮餃子会発足。「ギョ―!THEフェスティバル」という餃子祭りの企画等で、すでに「餃子を通しての町おこし」の土台は出来ていたらしいのですね。

そこに渡りに船で、『おまかせ!山田商会』の企画の話が入ってきたということらしいです。

 

その時宇都宮に訪れた『おまかせ!山田商会』のテレビスタッフに、宇都宮市側は「今宇都宮は餃子が熱いです!」と猛アピール。

それが番組側に受けいられます。

当初の「高校の文化祭を盛り上げる」という目的は、どこへ行ってしまったかは全く覚えていませんが(笑)、とにかく、宇都宮の餃子を売るためのプロジェクトを組むという企画の番組が、その後7回連続放映となりました。

番組放映後、テレビは今より社会への影響力が甚大であったので、当然のように宇都宮の餃子も人気が爆発します。

 

このように宇都宮=餃子という公式は、この『おまかせ!山田商会』がキッカケで作られたのです。

 

「当たり前」の餃子を武器に

今でこそ食べ物を全面に出した町おこしは当たり前になっていますが、宇都宮市の職員が「餃子でいく!」と決心したのは、まだ1990年代のことですよ。

「他の町にはない特別な場所や風景」を全面に出して売りだすということしか考えられなかった時代です。

恐らく市職員に対する風当たりが強かったことは、想像に難くないですよね。

先にも書きましたが、餃子のある風景というのは、宇都宮市民にとって「当たり前」だったハズなんです。

その「当たり前」を武器に町おこしをしようとするなんて、当時としてはあまりにもエポック(新次元)なことで、反対も多かったと思うんですよね。

…でもそれを当時の市の職員はやり遂げたんです。

いくらテレビ番組がキッカケとは言え、それに上手く乗っかる準備あっての結果ですから、餃子に掛けた宇都宮市職員の情熱は、忘れてはいけない事実だと思うんですよね。

 

宇都宮餃子の今

さて以下は、最近まで宇都宮に住んでいた私の、現在の宇都宮餃子に対する感想です。

いたって普通?

相変わらず美味しい餃子屋さんが、そこかしこに点在していて、楽しかったですね。

2大餃子店である「みんみん派」「正嗣派」かという論争も面白かったですし、それ以外にも「香蘭」「幸楽」「めんめん」等々いっぱいあるので、地元民はそれぞれ好きな餃子屋さんがあった気がします。

私は「みんみん派」でしたが、聞いていると「正嗣派」の方が若干多い気がしました。(うちの嫁も「正嗣派」でした。)

最終的には「自分の家で作ったほうが美味しい。」という、大変ごもっともな意見も多かったですけど(笑)

まあこうした餃子派閥争いは地元民同士ほとんど冗談めかして話しているので、そこまで重要じゃないです。

 

問題は外から観光で来た人の意見ですね。

「味は普通で、特に美味しくない」という意見をよく聞くんですよ。

実際に宇都宮で直接聞いた意見もあれば、ネットでこうした意見をみることもありました。

私は宇都宮の餃子が大好きなので、こうした意見を聞く度に残念に思います。

しかし、そうした意見も仕方がない面があるかも知れませんね。

 

餃子はご馳走にあらず

先に書いたように、宇都宮にとっての餃子は「当たり前」のモノであって、特に「ハレの日」に食べるようなご馳走ではないんですよね。

毎日の普通の食卓に出てくるようなフツーの食べ物。

「今日は一品足りないな〜。」ってな感じで買ってくるようなお惣菜。

そんな食べ物なんです。

もちろん町を上げてモーレツにプッシュしたものですから、観光する人が「さぞや美味しいものなのだろう。」という期待が膨らんでしまうのも分かるんですよ。

分かるんですが冷静に考えてみて下さい。

みなさんも良くご存知の餃子ですよ。

もともとご馳走じゃないでしょ(笑)

まあ、中にはご馳走めいた餃子もありますけどね。

でもそういった餃子は飽きが来るのも早いので毎日の食卓には上がらないですし、なにより高い(笑)

値段<美味しさ

宇都宮餃子を語る上で忘れてはいけないのがその値段。

「みんみん」は一人前が、税別ですが230円です。

これは「ヤキ(焼き餃子)」「アゲ(揚餃子)」「スイ(水餃子)」全部共通。

「正嗣」に至っては、焼き餃子と水餃子のみしか売ってませんが、お値段が一人前、なんと税込で210円!

めちゃめちゃ安いんですよ。

こうした安さだから、普段の食卓に出てくるんですよね。

値段を考えたら、抜群の美味しさですよ。

ご馳走ではないですから、飽きもしませんし。

私はこの、「安いくせに美味しい」っていう宇都宮餃子が大好きなんです。

 

並んでまで食べるモノじゃない

現在の宇都宮餃子は、その認知度の大幅アップによって、多くの人々を宇都宮に惹きつけてきました。

そのため、観光客を多数呼び寄せたので、「みんみん」「正嗣」の宮島の本店に行列ができるといった現象がおきています。

…これから宇都宮で餃子を食べようとしている方がいらっしゃったら、声を大にしていいますけど、ぶっちゃけ、本店で並んでまで食べる必要は無いですよ。

だって、普通の餃子ですもん(笑)

支店の方で食べたほうが、圧倒的にその餃子の良さが分かりますよ。
…並んで食べた方が、その思い出補正で美味しくなると考えているのであれば、本店で食べることを止めはしません(笑)

ただこの「普通」が奥深いところで、地元民がずーーーーと食べ続けてもても飽きない味であるというところに気づくまでは結構長い期間を要します。

つまり一回宇都宮に住んでみないと、宇都宮餃子の本当の良さがわからないと思うんですよね。

最後に

まあ別に「宇都宮餃子は普通。そんなに美味しくない。」と断じている方には、私が特に宇都宮の餃子に関して擁護するってことはないのですが、これから宇都宮餃子に関わるかも知れない方には、

普通な美味しさですよ。ただ、ずーっと食べても飽きない奥深さはあります。

とだけは伝えていきたいです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

  1. ぶりあん より:

    ウチの母手製の餃子は貧乏性なのか肉が多めでやや固め、ニンニク不使用でニラたっぷりでした。
    最近は「味の●」の冷凍餃子しか食べてないですw

    • うに うに より:

      そういう餃子も、大切な思い出の味の一つですよね(^^)

      最近の冷凍餃子は本当に美味しいですね!
      例の農薬混入事件以降、各企業が血のにじむような努力を重ねた結果だと思ってるんですが、まだ確証は得てません(^_^;)