絶滅危惧「用語」
ウサギの耳
なんじゃこりゃ用語シリーズ、早いもので第5弾です。
本日は「ウサギの耳」をご紹介いたします。
「ウサギの耳」とは相振り飛車限定で現れる
「金無双」と呼ばれる囲いの弱点を指し、
玉のコビン(斜め前の位置)にある歩を「ウサギの耳」と表現します。
なぜここが「ウサギの耳」と呼ばれるかを色々調べたのですが、
どうにも答えが見つかりませんでした。
私の勝手な想像ですがウサギの耳は細くて薄いので、
その辺りが金無双のコビンの脆さを表現しているのだと思います。
金無双を攻める側は、この4(6)筋の歩を攻めるのが一つの筋です。
「3歩持ったら継ぎ歩に垂れ歩」の格言通り攻めると、下図のようになります。
ここで4七の地点に金駒などを放り込まれたら、
金無双がいとも簡単に瓦解することが目に見えますね。
それだけ弱い地点なんだということが分かります。
なぜマイク・タイソン?
話は変わりますが「将棋ウォーズ」、人気ですねー。
私も気軽に将棋を指せるのでよく遊んでいますが、
将棋ウォーズの魅力の一つに、
戦法や囲いが現れた時に出てくる特徴的なイラストの「エフェクト」。
その「エフェクト」集めがあると思います。
基本的にその戦法・囲いを得意とするプロ棋士が描かれていることが多いのですが、
金無双のエフェクトって、かなり独特なんですよね。
…なんで急にマイク・タイソン?(笑)
まあわかる人はわかるネタなんですが、少し説明しますと、
昔マイク・タイソンという、
そりゃあもうめちゃくちゃ強いプロボクサーがいまして、
29戦目にして当時のチャンピオン、トレバー・バービックに2RTKO勝利し、
WBC世界ヘビー級王座を獲得。
史上最年少(20歳5か月)で世界ヘビー級王者となった人物です。
日本でもマイク・タイソンブームが巻き起こり、
1988年の東京ドームのこけら落としの一環として
マイク・タイソンの防衛戦が組まれたり、
当時ブームだったファミコンでも、彼の名を冠したゲームが出たほどです。
それでこのマイク・タイソン、その後色々問題を起こして刑務所に入った他、
結婚・離婚を繰り返したり、イスラム教に改宗して名前を変えたりと
破天荒な生き様を送るのですが、
中でも有名なのが耳噛み事件です。
ホリフィールドのWBA世界ヘビー級王座に挑戦するが、耳噛み事件(雑誌等で世紀の噛み付きとも称された)を起こし、2回の耳噛みにより3R終了時に失格負けとなった。この反則行為により、試合後はリング上で大混乱となり、一年間のライセンス停止処分を受けた。
*Wikipediaより引用 一部改変
要はリング上で対戦相手の耳を噛み切っちゃったんですよ。
当時史上最悪の反則とまで言われ、かなり大きく取り上げられたんですね。
この「マイク・タイソン耳噛み事件」が、
「将棋ウォーズ」での金無双エフェクトの背景となります(説明長いよ!)
ウサギのぬいぐるみの耳に噛み付いてるマイク・タイソン。
これでようやくこのイラストの意味が分かりましたね。
消えゆく運命…か?
話は戻って「ウサギの耳」です。
冒頭に「絶滅危惧用語」と書いたのは訳がありまして、
最近プロ同士の相振り飛車で、金無双の囲いが使われることは
ほとんど無くなってきているからなのですね。
別名「紙のような囲い」とも揶揄されているうえ、
2八の銀が壁銀で悪形・端攻めにも弱い・飛車交換にも弱い等の
弱点だらけの囲いとの認識がアマチュアにも浸透してきているため、
金無双の採用率はゲキゲンしています。
金無双を見ることが少なくなれば当然、
その弱点の別名である「ウサギの耳」も聞くことが少なくなる訳ですね。
こうして一つの将棋用語が消えつつあるのですが、
プロ将棋会で「雁木」が復活していることを考えると、
いつか金無双も復活する日が来るんじゃないかと思います。
…思います。
…思えます?
…いや無理っぽい(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
24だと級位で結構ありそうですが、段々相振りが指されなくなりますので貴重といえば貴重かも^^
相振りそのものが減ってきてますからね。
「お前も振るなら、俺は振り直す(戻す?)!」的な動きもあり、本当に「ウサギの耳」は聞かれなくなっていきそうです(^_^;)