線路の上を走る飛行船
プロペラ推進!?
「きかんしゃトーマス」は子供が大好きなので、よく付き合わされて観るのですが、
ヒューゴというキャラが出てきたときは、少々驚きました。
ヒューゴは、大昔読んだ本の中に出てきた、
少々変わった列車にそっくりだったからです。
*きしゃの絵本Wikiより引用
顔の大きさに惑わされてはいけません(笑)
彼の特徴は、車体のおしりの方についているプロペラです。
画像だとちょっと見切れているのでわかりづらいと思いますが、
ヒューゴはこのプロペラを回して推進力を得る、変わった列車なのです。
ドイツの試作車
このヒューゴにはモデルがありまして、第2次世界大戦前にドイツで試作された列車
「シーネンツェッペリン」がそれにあたります。
私が昔読んだ本に出てきたのも、恐らくこの列車ですね。
「きかんしゃトーマス」の『みらいのきかんしゃ』という回でヒューゴは登場時に、
「ツェッペリン型機関車のヒューゴと言います。」と自己紹介してますので、
この「シーネンツェッペリン」を模していることは間違いないです。
「シーネンツェッペリン」は1930年代にドイツで1機だけ作られた高速鉄道車両で、
ガソリンを動力とする鉄道としては最速のスピードを誇り、
今もその記録は破られていないことに驚かされます。
その速度はなんと時速230km!
圧倒的な速度で他の機関車の追随を許しません。
さすがは『みらいのきかんしゃ』です。
「シーネンツェッペリン」の車体は空気力学を応用して設計され、
その当時人気があった「ツェッペリン飛行船」と似たところがあり、
名前もそこから付けられたようです。
元々構造的には列車というよりは飛行機に近いもので作られており、
そのおかげで圧倒的な軽量化に成功しております。
20.3tというその重量は、テンダー機関車である「ヒロ(D51)」の重量125.77 t 、
主人公であるタンク機関車「トーマス(LB&SCR クラスE2型)」の重量53.6 tと
比べてみても、非常に軽いことが分かります。
その軽い車体に、600馬力のBMW製12気筒航空機用エンジンを備えていたのですから、
まさしく当時の鉄道としては、規格外の性能を有していました。
主流にはなれなかった
これだけの性能がありながら、
今はどこにも見当たらないこの「ツェッペリン」型機関車。
一体何が問題だったのでしょうか?
「シーネンツェッペリン」はその構造上、
他の車両を連結して編成を構成することが難しいということと、
混雑した鉄道駅で開放された状態のプロペラを用いることが危険であるということが、
問題であったとされています。
確かに高速回転するプロペラが、乗客を巻き込んでしまうことを想像すると…、
嗚呼、とっても怖い!(汗)
実際は駅のホームに入る際にはプロペラを止めて、
エンジン駆動で車輪を動かしていたようで、
『みらいのきかんしゃ』でも、その様子は描かれています。
そうした安全上の気遣いはありながら、
最終的に1機だけ試作されただけで、それからは作られることがなく、
そのたった1機の試作機も、金属を軍事目的に転用するため解体されてしまいました。
当時最速の運行速度を誇った「シーネンツェッペリン」は、
残念ながら『みらいのきかんしゃ』には成れなかったのです。
ヒューゴの悲哀
こうした歴史を知っているだけに、『みらいのきかんしゃ』でヒューゴがトーマスらに
「みんなの仕事を奪いに来たんでしょ。」と冷たくされるシーンなんか、
とても可愛そうで仕方がないですね。
しかしそのあと、ソドー島の良心である「パーシー」が、
ヒューゴを傷つけてしまったことに心を痛め、彼を元気づけようととするシーンは、
なかなか素敵です。
機関車たちの無謀な立ち振舞いが目立つこの「きかんしゃトーマス」の作品の中でも、
なかなか観られる内容となっているので、最後に皆様におススメしておきますね。
あと、「シーネンツェッペリン」の貴重な走行シーンが収められた動画も発見したので、
あわせて貼らせていただきます。
*3:00辺りから走行シーンが続きます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
「シーネンツェッペリン」( ̄□ ̄;)!!
まさにロマンなフォルムですねぃ^^
全然知らなかったですーさすがは世界に冠たる国ですなぁ(・x・ ).o0○
鉄道史の中に、ポツンと生まれたオーパーツみたいな列車なんですよね。
その後改良・量産されていたら…と考えるだけで楽しいです(^ω^)