スバル、伝家の宝刀
スバルの独自性とその消失感
急にエンジンのお話。
…読者置いてけぼりの予感(汗)
私はスバルが好きで、ちょっと前までスバルの車に乗ってました。
都内に住み始めたら自動車が贅沢品と化し、
ただの金食い虫になってしまったので売ってしまったのですが、
今でも車好きなのは変わりません。
なんというかスバルの
「変態職人チックなクルマづくり」(褒め言葉)が妙に気に入ってしまい、
独自路線を突っ走っている感じが大好きでした。
「走る・曲がる・止まる」という、車の基本に忠実な車体作り。
「AWD(All Wheel Drive)」による悪路走破性・直進安定性。
「アイサイト」に見られるアクティブセーフティーへの先見性。
燃費は悪いけど、
よく走る安全な車作りというイメージが強かったですね。
しかしながら「富士重工業」の頃トヨタの傘下に入り、
企業名を完全に「スバル」に変えた頃からその独自性が失われ、
データ改竄問題などで企業の隠蔽体質があらわになるなどして、
急速にその魅力を失ってきてしまい、とても残念に思います。
(アイサイトもやめちゃうという噂が…。)
そんなスバルですが、今回はその独自路線の一つの象徴、
「水平対向エンジン」をご紹介したいと思います。
水平対向エンジンとは
「水平対向エンジン」とは、
左右に向かい合ったピストンが
水平方向に打ち合うように往復するエンジンの事です。
その様子を、ボクシングのボクサーが
互いにパンチを打ち合う姿に見立てて、
「ボクサー(BOXER)エンジン」と呼ばれています。
スバルはこのボクサーの動きに似た水平対向エンジンこそが
最も合理的かつ理想的なエンジンと考え、
長年に渡りこだわって技術を磨き続けてきています。
さて、水平対向エンジン(ボクサーエンジン)と
他のエンジンとの違いはとはなんなのでしょうか?
比較対象の一般的なフツーのエンジンの代表格として、
「直列エンジン」と「V型エンジン」があります。
直列エンジンは一本のクランクシャフトに対して
シリンダーが一直線に並んだものです。
自動車・オートバイ・船舶など幅広く利用されていますね。
V型エンジンは左右交互にVの字型にシリンダーを配置したエンジンです。
クランクシャフトをはさんだバンク角が180°のものもあり、
見た目には水平対向エンジンのそれと似ている場合もありますが、
それは180°V型エンジンと呼ばれ、
見た目もほとんど同じでややこしいのですが、
水平対向エンジン(ボクサーエンジン)とは区別されます。
大排気量の自動車またはバイクのエンジンに採用される事が多く、
F1のエンジンはレギュレーションによりV型エンジンに限定されています。
スバルが水平対向エンジン「ボクサーエンジン」を採用したきっかけは、
スバル初めての乗用車「スバル1000」を作った時までさかのぼります。
「スバル1000」はもともと飛行機の開発をしていた百瀬晋六さんが
リーダーとして開発に携わっていました。
飛行機を長年開発していた百瀬氏が、
開発費用を度外視してクオリティの高いモノを追求したことから、
「スバル1000」に水平対向エンジンが採用されることになりました。
…この「開発費用を度外視して」作り始めちゃったものですから、
作り続けないと今まで掛けたコストに見合わなくなってしまうので、
その後スバルは水平対向エンジンを量産し続けることになりました。
このお陰で自動車メーカーとしての「個性」が打ち出されたのですから、
ある意味良かったのかもしれませんね。
水平対向エンジンのメリット
その水平対向エンジンのメリットですが、大きく3つ挙げられます。
*↑2気筒のモデル
左右のピストンが水平方向に往復する事で互いの力を打ち消しあい、
振動が少なくて済みます。
通常のエンジンはピストンの運動による慣性力を軽減するため、
バランスウェイトと呼ばれる重りがつけられていますが、
水平対向エンジンはバランスウェイトが無くても(あるいは最小限で)
低振動を実現できるため、低振動と低重量を両立できます。
重心が高くなりがちな他のエンジンに対して、
横に平べったい形の水平対向エンジンは重心が低くなります。
軽量・低重心のエンジンによりコーナリングでの振幅を抑え、
軽快で安定した走行がしやすくなります。
またエンジンの全高が低い事により、
車体のデザインに自由が利くという利点があります。
クランクシャフトを左右のシリンダーブロックが均一に挟み込む構造のため、
耐久性が高くなります。
また、直列エンジンに対してクランクシャフトが短くて済むため、
ねじれ剛性を気にする必要が少なく、軽量化につながっています。
水平対向エンジンのデメリット
これまで述べてきたように水平対向エンジンには多くのメリットがありますが、
エンジン周りのパーツが多くなるため、
生産コストがかかるといった点も無視できません。
またそれら補機類がエンジン上に置かれることが多いので、
先の「低重心」のメリットに対し懐疑的な人も多いのも事実です。
加えてエンジンの構造上、横幅が必要になるため、
エンジン周りのスペースに余裕がなくなるといったこともあります。
そのため整備性は低く、プラグ交換等に時間・工賃がかかります。
あとピストンリングが構造上、
どうしても下を中心に偏ってシリンダーにあたるため、
(重力でピストンが下に落ちるため)
シールの偏摩耗のせいでオイル漏れしやすいという
ユーザー泣かせな一面もあります。
でもこうしたデメリットも
個性なんじゃないかと感じられれば、
あなたも立派なスバリスト(スバル信者)ですよ!
私と水平対向エンジン
水平対向エンジンは高回転型なので、回すととてもキモチイイエンジンでした。
残念ながら下のトルクがスカスカなので、
ある一定回転数回してやらないとスピードが出なかったのが難点なんですが、
私は無意味に下のギアで引っ張って、
6〜7000回転くらいまでぶん回してやったりしてました。
それがめっちゃ快感なんですよ!
四輪駆動と車体の剛性感、ブレーキの利きの良さも相まって、
アクセル踏み込んでも、恐怖心を感じることはなかったですね。
ターボ付きのはあまり体感したことないけど(ディーラーでの試乗ぐらい)、
自然吸気エンジンのEJ20は、私にとって十分すぎるエンジンでした。
水平対向エンジンは、乗って楽しいエンジンの一つなので、
今後ずーっとスバルには作り続けて欲しいですね。
…今も水平対向エンジン作ってるのはポルシェとスバルだけなので、
スバルが作るのやめちゃったら私、
もう水平対向エンジンの車に乗れなくなっちゃうよ(苦笑)
「車は移動のための道具に過ぎない」とお思いの方が増えてると思いますが、
車を愛してやまない変態人種が、
現代にもいるんだということも思い出してもらえたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
前の職場でセンパイがレガシィ乗っててイイお値段と聞いてましたが、お高いのはそーゆー理由があったのか(・x・ ).o0○
うにさんが仰ってたように元々「隼」とか「紫電改」のエンジン作ってた会社なんで職人気質な会社なんですね^^
大手の傘下に入ってその独自性が消えるのは寂しいかぎりですなぁ(ノー`)
あ昔乗ってたビートルが空冷wエンジンでその独特の音とリズムが妙に身体にマッチしたのを覚えてますー機会あったら乗ってみてくまさい^^
毎回コメントありがとうございますm(__)m
現行レガシィは高いですけど、
中古のレガシィは狙い目ですよ。
特に各モデル最終型は、ちょくちょく改良を重ねた上の良さがありますので、デザイン・内装が気に入れば、買いだと思います。
…あー「ビートル」ですかー、いいですねー。
乗ってみたいですけど、今でも元気に走る個体って残ってるんですかね…?空冷のエンジンは乗ったことないので、乗ってみたいです( ´∀` )