将棋 なんじゃこりゃ用語④ 鬼殺し

将棋 なんじゃこりゃ用語

鬼殺しの本ご紹介

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原始鬼殺し

本日ご紹介する将棋用語は「鬼殺し」です。

 

なんだか字面が強そうな言葉ですね。

いわゆる「ハメ手」と呼ばれる、

相手が受け方を間違えると爆発的な破壊力を発揮する戦法の一つで、

大正時代から知られている息の長いハメ手です。

鬼殺し(おにごろし)は、将棋の戦法の一つ。先手の奇襲戦法である。そのルーツは、大正時代末期、大道詰将棋を出題していた野田圭甫が「可章馬(かしょうま)戦法」という本を売り出したことによるという。「可章馬戦法」の本を売っていた時の売り文句が「この戦法を使えば鬼も逃げ出す、鬼も倒せる」ということから、この名がついたとされている。英語名称はDemon Slayer。

いきなり桂が高跳びするという手順だが、早石田の変化(王手飛車をはじめとする両取り狙い、7三地点の突破)を取り込んでいるために破壊力があり、庶民に分かりやすかったことから縁台将棋で流行した。

*Wikipediaより引用 一部改変

 

貴重(?)な「奇襲ヒラメ戦法」↓(*鬼殺しとは直接関係ありません)

 

一応Wikipediaでは、「奇襲戦法」という括りになっていますが、

米長邦雄永世棋著「奇襲ヒラメ戦法」昭文社によると、

さて、ハメ手と奇襲とはどう違うのだろう。同じようだが両者は根本的に違う。本書は奇襲戦法である。
~~中略~~
ハメ手は、相手を侮らせたり、ウッカリさせて悪手を指させるものである。奇襲は、相手がどのように指そうとも自分の方からどんどん道を切り開いてゆく。この辺りがハメ手と奇襲の違いであろう。

*一部改変

とあります。

永世棋聖で元将棋連盟会長である米長さんの仰ることですから、

ここはハメ手と奇襲は明確に分けておきましょう

…で、この「原始鬼殺し」はどちらかというと、

やっぱり私は「ハメ手」だと思いますね。

3手目に7七桂跳ねを敢行するあたり、

どうも相手を侮らせる意味合いが強く、

「…初心者なんで! (๑≧౪≦)てへぺろ」ってな感じで、

相手を油断させるのがこの戦法のキモのような気がしてなりません。

初心者の桂跳ね好きは面白いですね。
その後痛い目にあって
「桂の高飛び歩の餌食」という格言を覚えていくのでしょう。
…私もかつてそうでした(笑)

 

原始鬼殺しは、途中相手が6二銀とフツーに守るところを期待して指す戦法なので、

ここで6二金とされると、もうすでに作戦として頓挫します。

桂損くらいで済めばいいのですが、恐らく鬼殺しを仕掛けた側は、

ほぼ必敗の形勢になることが多いので、

奇襲と呼ぶには余りにも深慮遠謀に欠けますよね。

そこら辺も含めて原始鬼殺しは、

「ハメ手」認定したいところです。

*一応「原始鬼殺し」の進行を載せておきます。
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7七桂 ▽8四歩 ▲6五桂 6二銀 ▲7五歩 ▽6四歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲5五角 ▽3三銀 ▲6四角 ▽5二金右 ▲7四歩 ▽6三金 ▲7八飛 ▽6四金 ▲7三歩成 ▽同 桂 ▲同桂成 ▽同 銀 ▲同飛成…

 

奇襲!鬼殺し

しかしながらプロが、この単なるハメ手である「原始鬼殺し」に手を加えると、

立派な奇襲戦法となるのですから面白いです。

一つは前述米長永世棋聖考案の「新鬼殺し」。

もう一つは島朗九段考案の「鬼殺し向飛車」です。

 

鬼殺しの特徴は早い段階での桂跳ねにあり、

桂を跳ねることにより大駒の利きを一気に通すような、

そんな劇的な効果を狙うところに「鬼殺し」の要素がある気がしますね。

島朗著「島ノート」講談社でも命名の理由として

▽4五桂からの反撃はまさに鬼殺しだ。

としてますので、桂跳ねがキモの戦法(奇襲)は

「鬼殺し」の名前を使うことが多いのかもしれません。

 

奇襲の鬼殺しは明快な勝ち方になることが多く、

楽に勝ちたいと願ってやまないアマチュアにも大人気なので、

これら鬼殺しを紹介した棋書もとても人気ですね。

米長邦雄著「新鬼殺し戦法」山海堂は60刷近くを数えるロングセラーとなってますし、

前述の「島ノート」は今でこそ絶版になりましたが、

当時ネット将棋では鬼殺し向飛車が大流行し、

島九段本人がインターネット上で

読者の質問に答えるという異例の対応も見せています。

大正時代のアマチュアである野田圭甫さんのネーミングセンスは、

現代でも通用しているということですかね。

島朗九段のネーミングセンスがアレなことはここでは内緒だよ♪
この鬼殺しは例外かな?(苦笑)

 

初心者にオススメ?

話は戻りまして「原始鬼殺し」なのですが、

私がハメ手認定したように、筋が良い戦法だとされることはほとんどありません。

ですので、将棋初心者に教えるべきではないという風潮がありまして、

逆に「鬼殺しをされたら6二金だよ。」という風に、

初心者には鬼殺し対策を教えるというのがほとんどでした。

 

しかしながら、題名で鬼殺しの名前は出ていないものの、

初心者向けの入門書で大々的に「原始鬼殺し」を紹介した棋士がいらっしゃいます。

神吉宏充七段です。

 

ド派手なスーツがトレードマークの神吉七段ですが、

引退はされたものの将棋指導の腕は抜群で、

加えて将棋界きってのエンターテイナーです。

さすが出版する将棋入門書もひと味違いますね。

棒銀でもなければ四間飛車でもないなんて(笑)

 

この「60分でわかる!はじめてでも勝てる将棋入門」PHP研究所

という将棋入門書は、購入した読者は30級から始まりまして、

この本を読み終える頃には神吉七段から7級をいただくことができるので、

初心者にはとってはやる気も出るし級位認定もしてもらえるという、

とてもありがたい棋書となっています。

しかしその過程で覚える戦法が「鬼殺し」だなんて前代未聞ですよ!

さすが趣味が『人を笑わせること、笑うこと』と公言しているだけあって、

神吉七段の人柄が窺い知ることができる一冊となってます。

初心者用の棋書を探している方にオススメですよ。

 

……。

……え?

絶版になってる!?

ウソ!?

じゃあ今回紹介してる4冊の棋書全部絶版ってこと?!

 

(´・ω・`)

えっと……。

……棋書はわりとすぐ絶版になるから、

気になった棋書は早めに買ったほうがいいですよという教訓をお伝えつつ、

今回の「将棋 なんじゃこりゃ用語④ 鬼殺し」編を終えたいと思います…。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. ぶりあん より:

    (・x・ ).o0○

    最初に覚えた戦法が「鬼殺し」ですた_| ̄|○
    確かマンガで見て覚えた記憶がありますw

    ごしっくではタローさんとかバイシクルさんが奇襲戦法全般に造詣が深いっすねー大会ではいつも苦しめられました。
    やはり指し手の感覚が独特で読みを外されたり非常に指し辛いカンジです(ノー`)

    • うに うに より:

      私が最初に覚えた戦法は、雀刺しですかねー。とにかく直線的な攻めが好きで、そればっかりやってた記憶があります(^_^;)
      それに比べたら、最初が鬼殺しって素敵だと思います。

      奇襲戦法全般に長けてる方って、どうやって勉強してるんですかねー?
      棋書も少ない中、実践で鍛えるしかないでしょうし。
      高段者のぶりあんさんを苦しめるとは、スゴイ修練が必要な気がしますw

  2. ころも より:

    将棋ウォーズで級位者に人気の奇襲戦法(独断)。
    ・鬼殺し
    ・早石田
    ・端角中飛車
    どれも攻撃力があって、きちんと受け切るのは大変です。

    • うに うに より:

      そうですね。どれもイヤーンな戦法ばかりですね(^_^;)

      私も対局中、それらの戦法をほのめかす序盤だとかなり身構えます。
      ただし自爆する方も多いので、まずはじっくり時間をかけて読むのが吉だと、自分に言い聞かせてますw

      …自爆王である私がなに言ってるんですかねw